執筆者
やまもとまさ歯科クリニック
院長山本 雅章
経歴
- 1996年私立東大寺学園高等学校卒業
- 2007年大阪大学大学院歯学研究科卒業
- 2007年大阪大学医学部特任研究員
- 2008年大阪大学歯学部附属病院医員
- 2010年大阪大学大学院歯学研究科助教
- 2018年濱本歯科口腔外科クリニック勤務
- 2020年やまもとまさ歯科クリニック開院
- 現在大阪大学大学院歯学研究科招へい教員
東洋医療専門学校非常勤講師(顎顔面補綴学)
「食事のたびに食べ物や飲み物が鼻に抜けてしまう」
「手術後からうまく話せなくなった」
「顎のラインが変わってしまい、外出することがつらい」
「他院で入れ歯が作れないと言われた」
口腔がんの手術などによって顎の骨を欠損された方に対して、顎顔面補綴治療として顎義歯(がくぎし)を用いた機能の回復が可能です。
大阪府箕面市のやまもとまさ歯科クリニックでは、顎顔面補綴治療を専門とする院長のもと、顎の骨を欠損された方への治療に取り組んでいます。
顎の骨(上顎骨・下顎骨)は、食べる・話すという動作を支える骨格の中心です。お口全体の形を保ちながら、義歯(入れ歯)を支える土台としても機能しています。
顎の骨が失われると、お口の形が大きく変わります。通常の入れ歯は健康な顎の骨の形を前提に作られているため、骨が欠損した状態では義歯が安定しなくなります。また、骨の欠損による変化は食事や発音だけではなく、顔貌(顔の形や見た目)にも及ぶことがあります。
口腔がんの手術では、がんのある部位に応じて上顎骨や下顎骨を切除することがあります。手術でがんを取り除くことが最優先ですが、その後のQOL(生活の質)を支えるために、顎の骨の欠損に対する補綴治療が必要になります。欠損する骨の部位や範囲によって、その後に生じる問題は異なります。
上顎骨を切除すると、口腔(お口の中)と鼻腔(鼻の内側)の間にある骨が失われ、両者が直接繋がった状態になることがあります。この状態では、食べ物や飲み物が鼻に抜けてしまったり、空気が漏れてうまく話せなくなったりします。日常の食事や会話に大きな支障が生じるだけではなく、顔貌の変化から外出への意欲が低下する方もおられます。
下顎骨を切除すると、顎のラインが変形し、食べ物をかむ力が低下します。話しにくさや、外見の変化から外出が難しくなる方もおられます。義歯が安定しにくいケースが多く、専門的な設計が求められます。
術後のお口の状態に合わせて設計する特殊な入れ歯を「顎義歯(がくぎし)」と言います。通常の入れ歯とは異なり、手術後に変化した顎の形を精密に把握したうえで、その方の口腔内の状態に合わせて設計・作製します。
上顎の顎義歯では、口腔と鼻腔が繋がった欠損部の形状を義歯の安定に活かす設計を行います。欠損によって生じた空間をうまく利用することで義歯が安定して、口腔の気密性が回復されます。食事の際の食べ物の鼻への逆流を防いで、発音や嚥下(えんげ:飲み込む動作)の改善に繋がります。単純に穴を塞ぐ設計ではなく、欠損の形状を積極的に利用するという発想が、上顎顎義歯ならではの設計の考え方です。
下顎の顎義歯では、変形した顎のラインに合わせて義歯を設計・作製します。咀嚼(そしゃく)機能の回復に加えて、顔貌を補う観点からも仕上げを行い、外見面を含めたQOLの向上を目指します。
術後の状態は患者様によって大きく異なるため、精密な確認と個別の設計が欠かせません。歯科技工士と連携しながら、その方のお口に合った義歯に仕上げていきます。
顎義歯治療は保険適用となります。ただし、保険適用であっても通常の入れ歯治療より費用が高くなります。詳しい費用については、診察時にご説明します。より質の高い素材を使用した自費診療での作製も可能ですので、ご希望の場合はご相談ください。
顎義歯は、作製後も定期的なメンテナンスが必要です。術後のお口は時間の経過とともに変化するため、義歯の適合も定期的に確認・調整を続けることが大切です。適合がほんの少しずれるだけで食事に影響が出ることもあります。
当院では、痛みや不具合が出た場合はいつでもご来院いただけます。また、言語聴覚士(ST:Speech Therapist)との連携による発音・嚥下機能のリハビリや、管理栄養士と連携した食事内容・食形態へのアドバイスなど、義歯の調整にとどまらないサポートも行っています。術後の口腔内のセルフケア方法も個別にご指導しますので、ご自宅でのケアについてもお気軽にご相談ください。
口腔がんの手術後、変化した顎の状態にどう向き合えばいいのか、不安に感じておられる方も多いことと思います。「他院では難しいと言われた」という方も、まずは一度ご相談ください。やまもとまさ歯科クリニックでは、患者様お一人おひとりの口腔内の状態に合わせた義歯の作製と継続的なメンテナンスで、回復をサポートします。